効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

奈良の森林保護をめぐる新しい動き

奈良県にはうっそうと繁る森が多く森林の県だ。輸入材木との競争に負け、就業者の高齢化も加わって林業自体が業として成り立たなくなり、森林の荒廃が進んでいるのを、森林の間伐によって自然環境を保護・機能回復させようと、NPO紀伊半島の美しい森林づくり協議会」が24日に設立された。来年をめどに法人化を目指し、製紙メーカーの協力を得て、間伐材を使ったOA用紙を生産する。販売収入を次の間伐に充て、森林再生のサイクルを確立させようとの試みで、来月、東吉野村で実証実験を行うことになっている。協議会の理事長は金峯山寺の田中宗務総長。
協議会は、東吉野村内の山林で、杉や檜の間伐を行い、原木を生かした県産材によるOA用紙を生産して販売ルートに乗せる計画。間伐などの作業は高齢になった地元の林業家の協力で着手し、将来は不況などで転職を余儀なくされている建設業者などへの技術指導をして雇用創出にもつなげたいとのこと。100トンの間伐材が100トンの紙の生産につながるそうだ。紙代に5%程度上乗せした価格で県などの行政機関や企業に販売する。その収入を間伐などの事業運転資金とする。来月の実証試験で採算性を見ることになる。
順調なスタートを切るにはいろいろ難しい条件があるようにも見える。紙の製造事業者が地元にあるのだろうか。地元になければ間伐材の輸送コストが課題となる。杉、檜だけでOA用紙が作れるのかしら。このようなことは当然検討済みだろうが、奈良新聞の報道には出ていない。既存のOA用紙と価格競争できるだろうか。もしコストが下がらなければ、高い用紙を使うことの理由付けと何かのメリットがないと受け入れられないだろう。とはいえ、これに挑戦してみようとする動きが具体的に出たことを評価すべきだろう。農林水産省の支援があるかないかについて記事は触れていなかったが、滑り出しを支援する制度的裏付けがほしいところだ。それにばかり頼るのでは駄目なのだが。