効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

日本の技術力

昨日日本が世界の市場でどれほど技術競争力を維持できるかについて心配していると書いた。たまたま風力発電についての大御所、足利工業大学学長、牛山 泉先生のインタビュー記事を読んでいて、世界の風車に使われているベアリングの6割が日本製だと知った。この数字は何となく日本の製品技術の高さを示しているように見える。しかし、この数字は毎年下がっているのではないだろうか。また、たとえ日本の競争力が維持されているとしても、果たしていつまでも日本で製造を続けることができるだろうか。特に、中国は風車の製造量としては世界のトップを走っているから、いずれ日本と同レベルの製造技術を開発するだろう。また、洋上風力発電については欧米が政府の後押しを受けて多数設置されようとしている。海水に対して強い風車であるためには、ベアリングも含めて、これまで以上に耐食性が要求される。その時にほとんど洋上風力発電市場がない日本にいつまで風車用ベアリングメーカーが残るだろうか。風力発電業者としては大量の発注をするから自国で製造してほしいと主張するだろう。この時に日本で製造しなくてはならない特別の理由が主張できるだろうか。技術開発についても、設置されている現場からの情報に接していなければ順調にはいかないだろう。
牛山先生の話では、英国政府は三菱重工に最大3000万ポンド(約40億円)の補助金を出して、洋上風力開発プロジェクトを進めると今年2月に発表したそうだ。ここで認められている日本のメーカーの技術は、当然英国に流れていくはず。それを上回る技術の開発を、この洋上風力発電について日本で継続できるか大いに疑問だ。日本ではNEDOが細々と実証を始めようとしているだけだから、メーカーに魅力的な市場が生まれるとしてもかなり先の話になるだろう。メキシコ湾の原油漏洩を受けて、米国でも洋上風力建設プロジェクトがどんどん生まれ始めている。米国は国内で製造することを求める可能性もある。日本メーカーが製造拠点を欧米に移す可能性は大きい。心配だ。