効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■風力発電のギアレス化

風力発電、特に洋上風力発電の規模が大きくなっているが、風を受けてゆっくり回る大きな羽根の力で発電機を回すために、幾つもの歯車が使われる。この規模が大型化することが、その維持管理に多大の労力とコストがかかるのが問題となってきた。特に洋上浮力発電については、そこへアクセスするのに船も必要となり、発電機や歯車の維持管理、取り替えには、部品資材と熟練した人手が不可欠。大型化によって風力発電コストは下がるのだが、維持管理のコストを下げるのは難しかった。

現用の風力発電は、羽根の回転は5~15回転/分であり、発電機は1,000~1,800回転だから、その間をつなぐギアボックスの製造には高度の製造技術が必要だし、長期にわたる耐久性が要求される。これに変わるものとして羽根と直結し、羽根と同じ回転数で稼働する発電機もあるが、それに必要な永久磁石は希少金属を大量に使う必要があり、その重量もギアボックスよりも遙かに大きくなりコストも大幅に高くなる。そして、どの方式にしろ、重量物がタワーの頂上に取り付けられるため、タワーやその基盤の構造も複雑になるし、建設にも膨大なコストがかかる。最近浮体方式のものが実用化され始めているが、トップヘビーの構造物への対応が難しい。

この問題を解決する方法の技術開発に米国のDOE(エネルギー省)が乗り出している。発電部分の軽量化と高効率化を目指す新方式は、羽根と発電機を直結する4つの方式だが、その内2つが、磁石部分に高温超電導素材を利用しようとするものだという。重量を大きく下げ、発電効率を上げるだけでなく、1万キロワット以上の規模にも対応できる直結式発電方式が想定されている。

日本でも浮体式も含めた洋上風力発電が実証試験されているが、このような新技術の開発が行われていると聞いたことがない。日本が取り組める技術開発分野だと思えるのだが、どうなるだろうか。世界の動きに取り残されないために。