効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

カリフォルニアのコージェネレーション

カリフォルニアにあるコージェネレーションが発電した電気を固定価格で買い取ることを民営電力事業に義務づける州法が導入された。欧州で一般的なフィードインタリフだ。それに対して大手3社、Pacific Gas & Electric、Southern California Edison、San Diego Gas & Electricがカリフォルニア州の公益事業委員会(PUC)にはそれを強制する権限がないとして連邦エネルギー統制委員会(FERC)に訴えたのだ。それに対して、Attorney General (検事総長)が、連邦エネルギー統制委員会に対して、PUCにはその権限があると裁定するように要請したということだ。大手電力事業側は、PUCには事業者が卸電力価格設定に介入することはできないと主張している。検事総長はそれに対して、固定価格は卸電力ではなく、いわば小売り電力に相当すると論じている。すでに存在するコージェネレーションが余剰電力を売る価格だから小売価格に相当し、州法の定めるPUCの権限の中にあるということだ。
争点となっている法律では、20MW以下のコージェネレーションについて、買取契約を電力事業が結ぶよう義務づけている。系統が一杯になって余裕がない地域で、その混雑解消にコージェネレーションが貢献するからだ。コージェネレーションには、新しい系統を設置しなくて済むために、回避コストとして10%のボーナスが与えられると報じられている。10%ボーナスが何に対してか明確ではないが、多分小売り電力料金の10%アップで買い取るということだろう。これから夏に向かって電力供給能力が不足するカリフォルニア州の電力事業としては、任意交渉で買取をしたいのだろうが、それを州に強制されるのを嫌っているのだろう。これはカーター政権時代に導入されたPURPA(Public Utility Regulatory Policy Act)でコージェネレーションからの電力を発電所を新規に建設するときの限界コストで買い取ることを義務づけた制度の復活だ。これは電力市場の自由化の中で消えてしまったものだが、コージェネレーションからの電力を買い取ることは続いている。日本の現状ではコージェネ電力の買取など当分実現しないだろうが、総合高エネルギー効率が高いこのシステムを普及させるために参考となる制度がカリフォルニアにはあることが分かる。