効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

製紙業界が売電用発電

製紙業界は扱う素材が木質系であり、その製造工程に大量の熱も必要であることから、廃棄物を燃料としたコージェネレーション(熱電併給)を稼動させてきた。だが、その発電規模は、かなり大きいとはいえ、プロセスに必要な熱主体で発電した電気は施設内で消費されてきたのが殆どだった。ところが、再エネの固定価格買取制度が始まり、発電した電気が木質バイオマスによる発電として優遇された価格で売ることができるようになって、これまでにも、幾つかの事業者がコージェネ発電設備を増設している。つい最近の報道では、大王製紙が主力の愛媛県にある三島工場に売電用の発電所を建設し、製紙工程で出る廃液を利用して発電、販売する。総投資額は200億円程度になる見通しだというから大きなものだ。発電能力は6万キロワットを計画しており、紙の原料となるパルプを作る際に出る「黒液」と呼ぶ樹脂成分を燃料にする。国内の紙・板紙市場は縮小が続くが、この発電事業が大きな収益源になるかもしれない。製紙業界の場合、原料の調達、発電からの廃熱利用、発電後の廃棄物の処理について、自己完結的に処理できるという強みがある。そして、電力を買い取る事業者から見ると、太陽光発電風力発電といった不規則な変動はしないし、規模の大きさから見れば、安定的なベース電力を確保できることになる。電力市場の完全自由化を控えて、製紙業界はさらに発電、売電の規模を増やすに違いない。