効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

西澤教授の原発より水力論

原子力発電よりも水力発電にこれから依存すべきだと説いているのが西澤潤一博士。現在上智大学特任教授だが、元東北大学教授で光通信半導体レーザー技術を開発した方だ。米国の電気電子学会(IEEE)では「西澤潤一メダル」という名前の賞を設けている。大学の教室に優れた業績を上げた教授の名前を付けるのと同じことで名誉なことなのだし、それだけ業績が世界的に認められているということだ。
西澤先生は以前からパワー半導体を使っての直流送電システムを提唱しておられる。その考え方は自分もよく使わせて貰っている。先生は、二酸化炭素を削減するには脱火力が必要で、安全性や効率、コストを総合判断するとまずは水力ということではないかと説いておられるという。現在仲間内で温めている構想が、東南アジアで発電し、日本に高圧直流送電線で日本に送るというアイデアなのだ。日本では水資源の開発余地は小水力があるだけだ。ところが、東南アジア、とりわけカンボジアなどにはまだ水資源が豊富だと先生は考えておられる。いまでは高圧の直流送電は世界各地で実用化されている。これを使うと、送電ロスは大幅に減り、「北極から南極への送電も可能になる」と説いておられる。
ただ大規模水力発電というと一般的にはダムを造ることになる。ダムは建設地の環境を破壊するとされているから、大きなダムではなく、流し込みを中心にした発電を重ねる方が良いのだろう。それでどれだけの発電規模が実現できるか知りたいものだ。カンボジアから日本へ高圧直流送電線を建設するとすれば必ず中国を経由することになるだろう。中国ではいま10系統ほどの直流送電線の建設が進んでいる。大都会から離れている産炭地で発電して、その電力を2千キロメートル離れた需要地まで届けることになる。それと合流させて電力不足の中国に供給することにし、その建設に日本が資金を供給してカーボンクレジットを獲得するのが当面のやり方かもしれない。