効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

石炭価格の高騰

中国やインド、米国など世界的に石炭の需要が高まっている。石炭は火力発電や鉄鋼などに使われていて、オーストラリアや中国といった産出国のインフラ整備が追いつかないことや自然災害などがあいまって、価格が高騰している。日本の鉄鋼メーカーや電力会社は石炭価格の値上げを呑まざるを得ない。指標となっている豪州産一般(電力)炭のスポット価格は、07年1月に1トンあたり約51米ドルだったが、いま石炭がほしければ、1トンあたり2.5倍増の125米ドルを払わなければ手に入らないという。なかでも鉄鋼に使う原料炭は、「電力炭とは質が異なり、採れる量も少ないので値段も倍以上違う」ということだ。
その電力炭の価格高騰は、いままで経済性の面から建設されてきた石炭火力の発電コストが今後上昇することを意味する。一方、米国で顕著に見られるのが天然ガス価格の低落だ。米国の天然ガス価格は上下動の幅が大きいので、これからまた反動的に上がらないとは言えないが、シェールガスという新しい天然ガス資源の開発も進んできて、今後天然ガス価格と石炭価格の差は縮まるのではないかと思っている。そうなると、発電用燃料として考えた場合、天然ガスは燃焼したときに排出される二酸化炭素の量が石炭の3分の一だという環境面から見た優位性があることがさらに評価されるだろう。天然ガスの確認埋蔵量も今後増加すると言われていることもあって、発電用燃料として世界的に消費量が増えるのではないか。需要が増えれば価格が上がると考えられるが、長期契約で価格が安定している側面もあって、それほどの上昇もないと考えられる。石油の開発が、メキシコ湾の事故のために停滞する可能性もあって、天然ガス開発に力が振り向けられて生産量が増える可能性もある。今後の動向を注視しなければならないだろう。