効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

炭素繊維で航空機材料

この間東レがドイツのメルセデス炭素繊維を素材とする強化樹脂の共同開発をすることを書いたが、東レは今度エアバス炭素繊維製の機体材料を2011年から25年まで納入すると報道されている。2012年に初飛行を目指す旅客機から採用となり、累計受注額は2000億〜3000億円に上る可能性があるとのこと。これまでも主翼部分などにも使われていたはずだが、この素材を使用する領域が広がったのだ。飛行機は構造部材が破壊されれば墜落せざるを得ないのだから、よほど安全性に確信がなければ使用することはできない。昔英国のコメットが原因不明の墜落事故を起こしたのを、海底から引き上げて調べたら、機内の圧力と機外の低い気圧の差が繰り返されるために金属が延びたり縮んだりして金属疲労を起こして破壊されたことが分かったということを思い出した。そのようなことになってはいけないのは当然だが、使用範囲が広がると、未知の問題も起きる可能性がある。東レの技術力が評価され、そのような怖れがないと信頼されたのだろう。
エアバスは次期主力中型旅客機「A350XWB」の燃費を向上させるため、機体の軽量化に取り組んでいる。炭素繊維複合材料を機体重量の約50%にあたる約35トン使う計画だという。主翼や胴体の大半が複合材料となる。従来は最大でも機体重量の10%程度だったそうだ。東レは米ボーイングにもこの素材を納入している。炭素繊維の糸の販売量では東レ三菱レイヨン帝人子会社の東邦テナックスの3社で世界シェアの70%強を占める。東レはシェア34%の最大手で、航空機向けに限れば60%に高まる。
この素材のお陰で航空機の消費する燃料が大きく減ることになるだろう。あんな重いものを空中に浮かせるのだから、交通機関としてはもっともエネルギー効率が悪いのが航空機だ。それを改善できるのだから、日本の技術力をあらためて認識した。