効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

出力変動緩和型風力発電

これまで、日本風力開発NAS電池で出力を一定にする風力発電東北電力管内に建設し稼働させている。続いて、日立エンジニアリング・アンド・サービス(HES)が建設を進めていた、国内初の出力変動緩和型風力発電所・市浦風力発電所青森県五所川原市)が完成し、本格的に運転を開始した。同社の開発した制御システムと、同じ日立製作所グループの新神戸電機が開発した鉛蓄電池を用いることで、出力変動の幅をほぼ連系先の東北電力が求める要件以内に抑えた。あまり関心が寄せられていない鉛蓄電池を使ったところが嬉しい。2月から実証運転を開始しており、1年間かけてシステムの微調整を行い、要件を完全に満たせるようにする計画だという。
総出力は1万5440キロワット。容量1万400キロワット時の蓄電池と、4500KVAのインバーターを併設している。東北電力の出力変動緩和制御の要件は、任意の時刻から20分間の出力変動幅を、定格設備容量の10%以内に抑えることとなっている。これは初めて知った。北海道電力でも同じ要件なのだろうか。蓄電池には新神戸電機が新開発した長寿命鉛蓄電池「LL―W電池」が採用された。同電池ではこれまで4500サイクル・15年だった寿命を、部分充電状態での正極の耐久性向上や、電解液に工夫を加えることで17年に延長した。ここまで耐久性が向上すれば、価格との見合いで行けばNAS電池より魅力的になるかもしれない。1月に試運転、2月に実証試験を開始。今までのところ、風の強い冬季でもほぼすべての時間帯で出力変動率を10%以内に抑え、HESの制御方式が高い変動緩和効果を持つことを示しているという。出力変動緩和の効果が実証されれば、連系量に制約がある電力会社でも風力の連系可能量を現在の2倍以上にできる可能性があり、新エネルギーの導入促進につながるとしている。系統側でどうしても風力発電の出力変動を吸収できなければ、蓄電を考えなければならないが、そのコスト削減が鉛蓄電池でできれば、世界に売れるシステムになるだろう。