効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

中国の揚水発電

東芝が、中国・広東省水力発電設備を受注した。受注額は約100億円。中国の子会社、東芝水電設備(浙江省)が現地の発電会社の調峰調頻発電公司から、出力32万キロワット級のポンプ水車と発電機4セットなどを受注した。2012年1月から順次導入し、14年10月から運転を開始する。受注したのは揚水発電という水力発電の一種。夜間の余剰電力を使って水をくみ上げ、昼間などの電力需要が大きい時間帯に水を落として発電する。中国では電力需要の拡大を受け原子力発電所の新設計画が相次いでおり、揚水発電への需要も高まっている。」という記事を見た。
これを原子力発電設備と一体のものとして見るべきかどうか。確かに中国は原子力発電の新規設備を多く計画している。しかし、同時に風力発電が前年の全容量と同じだけ新設するのが2年続いているから、送電系統に対する影響が大きいはず。風力発電の出力が系統にとって受け入れられないほど大きくなったときには、揚水発電に使って吸収するのは欧米で普通にとられる手段だ。ウインドファームであっても最大出力数万キロワット程度。全部が一斉にフル稼働することは稀だろうから、電力需要が下がった夜間に稼働する風力発電の余剰分を揚水するのに回しても原子力発電の余剰分を吸収するのに影響することはないだろう。日本と違って中国は揚水発電原発の稼働維持だけに使うのではなく、猛烈な勢いで増えている風力発電の変動吸収に使うはずだ。日本では風力発電の変動吸収は大型蓄電池しかないように言われるが、その認識を改める必要があると思う。ただ、揚水ということはダムを造ることを意味する。30万キロワット級であれば大きなものではないだろうが、住民の立ち退き問題が起きるはず。また中国の河川の水量がこの頃急速に減少しているから、十分に機能するかどうかも気になる。