効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

揚水発電に可変速発電機

揚水発電はこのブログでも時々触れたことがある。揚水発電の理屈は、電力需要が一般的に昼過ぎに最大、深夜には最低になり、その格差が日本は欧米に比べて大きく、しかも差が増大を続けているために、夜に余っている発電能力を利用して発電させ、その電力を使って水をダムに汲み上げて水位を上げてやり、昼の需要ピーク時にその汲み上げた水を利用して発電するというものだ。需給のバランスを少しでも回復させる効果が認められる。特に、ベース電力となっている発電コストの安い原子力発電とか石炭火力発電設備を使うことができるために、揚水発電設備にコストをかけても意味があるとされている。
ところが、水を汲み上げるタービンは一定の電力を消費して一定の水量を押し上げるので、夜でも変動している需要に対応するために、負荷変動に対応できる火力発電を待機させておかなくてはならなかった。ところが、三菱電機が水汲み上げのタービンの出力を簡単に変えることができる可変速揚水発電システムを開発して受注拡大に力を入れると報じられている。これによって夜間の負荷調整用に石油火力を待機させる必要がなくなるとのこと。揚水時の出力を簡単に変えられるだけでなく、放水して水力発電として使うときにも出力を柔軟に変えられるそうだ。一般に水力発電は短時間で出力を変動させることが難しいのだが。もしこれができれば、風力発電などの変動する電源の変動を水力発電で調整できることになる。既設の設備にも適用できるそうだし、もしこれが三菱電機独自開発の技術だとすれば、風力発電の急増で系統運用に難しさが増している米国などに大きな市場があるはずだ。興味ある技術だと思う。