効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

米国でビルマルチが普及するか

電気新聞の報道によると「ダイキン工業は、米国でのビル用マルチエアコン普及に向け、米暖房冷凍空調学会(ASHRAE)などでの活動に力を入れている。先ごろ東京支社(東京都港区)で報道機関向け説明会を開催し、米国のビル用空調を取り巻く状況などを解説した。同社では、ビル用マルチの標準化や、エンジニアたちの認知度向上といった取り組みを進めることで、導入しやすい環境を形成していくとしている。」とある。
米国では、従来型のセントラル式空調が主流というよりほぼ全部がそうらしい。昨年9月に自分が日本窓口をしているE Source(www.esource.com)の年次会合に出席したときに、エネルギー利用の効率化を推進するための情報提供を担当しているリサーチャーから、日本のビルマルチがどれほどセントラル方式に比べて効率が高いかの資料がないかと尋ねられた。それもメーカーのカタログデータではなくて、古い方式からビルマルチに変更したらこれだけ効率が上がったということを立証した公的な実験データが日本にないかということだった。いろいろ調べたが分からなかった。その時にダイキン工業にも尋ねたが、そのような比較実験データはないが、米国でデモ施設を作っているので間もなくそこから広報されるだろうと聞いていた。
E Sourceのリサーチャーによると、建築デザイナーもビルオーナーも非常に保守的で、よほど効率が改善するという数字を見せなければ新しい技術の導入に消極的なのだそうだ。そのリサーチャーは、E Sourceの会員である米国の電力事業者に、ビルマルチが非常に効率が高いことを教えたいのだが、客観データが入手できないのだそうだ。この報道でダイキン工業が動き始めたことは分かった。ビルマルチは、空調機の本体から各部屋に冷媒が圧送され、各部屋で別々に冷暖房する。これまでは、空調機が温度調整した空気を各部屋へ一斉に送っていたから、個別に温度調整もできないし、使っていない部屋も空調していたのだ。当初の設備コストはビルマルチの方が高いだろうから、コスト効果の示し方がむつかしいかもしれない。日本の技術を輸出する良い機会になってほしい。