蓄電池の技術進歩は本当に日進月歩だ。二週間ほど前の新聞に、三洋電機がバックアップ電源となるリチウムイオン電池を信号機メーカーの日本信号を通じ国内で初めて徳島県警に納入したとあった。信号機が設置されている全国約20万カ所の交差点や横断歩道のうち主要な約5000カ所は、停電に備えてディーゼルエンジンによる自家発電装置を設置しているとその記事にあったが、そんな措置を講じてあるとは全く知らなかった。どんな交差点だろうか。重要交差点だろうから、4対だけでなくその倍ほどは信号機がついているのだろう。昔からの白熱電球を使うものなら一個の信号機で多分200ワットほどの大きさだろうから、信号だけで1キロワットの発電機。それに燃料タンクも必要だ。頻繁にエンジンが作動することはないはずだから、逆にさび付いたりしないように定期的に保守運転をしてやらなくてはならない。燃料も時々交換してやらないと変質していざというときに動かなくなる。もし信号機がLEDになっていればもっと電力消費は少なくなるからエンジン発電機は小さくて済むが、制御装置にも電源が必要だから1〜2キロワットは必要だろう。エンジンの初期コストとメンテコストを考えると、蓄電池のほうが安く付くかもしれない。リチウムイオン電池であれば大きさも場所をとらない。
三洋電機のシステムは円筒形の電池を312本つなぎ、停電時の交差点で約2時間半信号を点灯する能力があるとのこと。徳島県内の21カ所の交差点に設置。総費用は約1600万円と記事にある。一カ所あたり80万円弱。三洋電機によると、ディーゼルエンジンの自家発電装置に比べると初期投資コストで3分の一〜4分の一で済むそうだ。信号機は点いたり消えたりするという印象だが、少なくとも4カ所は色が違うだけで常時点灯している。コンスタントな電力消費だから計算はしやすい。このような事例は他の用途にもあるに違いない。交番の赤電灯や室内照明にはバックアップがあるのだろうか。