効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

エイモリー・ロビンスの指摘

永年の友人であるエイモリー・ロビンスの指摘が、日経ビジネス3月1日号に出されている。ロッキー・マウンテン研究所の会長だが、日本のエネルギー効率が高いとする思いこみないしは自己満足から脱却すれば、2020年までに1990年比で25%削減するという日本政府の削減目標は十分可能だとする。日本は70年代、ということはオイルショック直後に、エネルギー効率化対策を積極的に進めたが、その後は自己満足に陥って、さらなる取り組みを怠るようになったと述べている。えっと思う日本人がほとんどだろう。
彼の指摘によると、日本の人口一人あたりの電力消費量は、いまやカリフォルニアとニューヨーク各州を超えている。電力消費量の多いテキサス州と比べれば日本の方が少ないが、増加率はほぼ同等だともいう。その原因として、日本が比較的、非効率な照明器具を利用し続けていることと、日本の建物の気密性が低いことを上げている。気密性については分かるが、照明については本当だろうかと思う。日本の方が蛍光灯の利用が進んでいると思っていたのだが、効率の低い古い蛍光灯を使い続けているのかもしれない。
さらに風力、太陽という資源を有効に使えないような制度を継続する政策も批判している。そして、日本の建物のエネルギー利用効率が低いことを数字で示している。日本の省エネルギーセンターが調査した40軒の建物の単位面積あたり年間エネルギー消費量(中央値)は1737メガジュール。対する米国の数値は1100メガジュール。日米の最優良事例の比較でも、米国が100〜230メガジュールであるのに対して日本は293メガジュールなのだそうだ。ここで言う建物はオフィスビルだろう。彼が日本に来るたびにホテルやビルの非効率さが改善されていないと言っていたのはこれだったのだ。
日本の重工業はオイルショック対応でエネルギー効率を大きく上げたことは確かだ。それは自己防衛でもあった。その成功が、どこかで日本全体が効率的だという幻想に変化してしまったのだろう。最近住宅の断熱工事にエコポイント制度の適用が始まったが、既築オフィスビルの断熱促進策も検討すべきだろう。古い蛍光灯を使い続けているし、窓はほとんど単層ガラスなのだから。