効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

期待される新技術

昨日の日記の標題が変換ミスに気づかなかったために妙なものになっていた。効であるべきものが高になっていたのだ。お詫び。
その効に関して新しい技術が登場したのを今日の毎日新聞で知った。絶縁体を使って電気信号を送ることによって、所要エネルギーを大きく引き下げることができるというものだ。電気を通さない「絶縁体」の物質に、磁気を使った方法で電気の信号を通すことに、東北大学金属材料研究所の斉藤英治教授らのチームが世界で初めて成功したという記事だ。IC(集積回路)チップに使う場合、銅線に比べてエネルギー消費量が8割軽減するとある。
電気が流れるということは、電子が移動することだ。移動にはそれを阻もうとする抵抗があって発熱してエネルギーが失われる。斉藤教授らは磁石にくっつく物質(磁性体)の磁気のもとになる電子の自転「スピン」に着目した。同教授は06年に、電子から電子へスピンが次々に伝わる「スピン波」と電流を相互に変換できることを発見していて、その理論を応用している。通信回路で信号を送るのに、電子自体を動かすのがこれまでのやり方だったが、電子は止まったままであっても、それが電流に応じて回転し、その回転が隣の電子に移るということだろう。その波が反対側まで電子のつながりを移動し、その最後のところのスピンを電流に変えることができれば、信号を伝達することができるということだと解釈した。
ICチップなどに使われる磁石の一種である「磁性ガーネット」という絶縁体の両端に白金の端子を取付け、片方の端子に電流を流すと、その電流が白金と絶縁体の境界面でスピン(磁気)に変換してスピン波を起こす。スピン波は反対側の白金の端子まで到達して電流を発生させる。多分スピン波の起電力は小さいだろうが、集積回路を流れるのはオン・オフの信号で、エネルギーを伝送するわけではないから、電流の有無だけを判定すれば信号が伝わることになるということだろう。電子は移動しないから発熱はほぼゼロ。両端の白金回路を流れる電流の損失だけになるから、信号伝達に必要な電力は激減するはず。情報伝送に革命を起こす技術ではないかと思う。すぐにでも実商品に応用できるのではないだろうか。