効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

原発20基も建つはずがない

毎日新聞の記事をそのまま引用すると、「 原子力発電所の現在の新設計画(14基)がすべて実現しても、2030年以降の20年間にさらに20基の新設が必要という試算を資源エネルギー庁がまとめた。既存原発の寿命による廃炉の目減り分を埋め合わせるためで、現在よりハイペースな「年平均1基の新設」を実現しなければならない困難な状況が浮かび上がった。5日に開かれた総合資源エネルギー調査会原子力部会で報告された。同庁によると、現在国内で稼働中の原発は54基、総出力は約4900万キロワット。国は温室効果ガス削減対策の一つとして原発を位置付けており、20年までに温室効果ガス25%減(1990年比)という方針の実現には8基の新設が必須となる。30年までにはさらに6基の新設を計画している。これらが完成した場合の総出力は約6800万キロワット。この出力を維持するには、既存原発の寿命を現在の40年から60年に延長しても30〜50年の20年間に150万キロワットの大型原発20基が必要だと分かった。既存原発には増設の余地は乏しく、新たな立地選定が課題となる。一方、寿命を40年のままとすると30年時点で3000万キロワット、寿命50年でも1500万キロワット分が不足する計算になるという。」
この20基という数字は、当然前提となる条件があるはずだが、それはともかくとして、いま既設の原発の延命が始まっているのを計算に入れても大型原発が20基必要だというのだから、お上の命令は有無をいわさずに受け入れる時代であったとしても、建設に時間がかかる原発では地球温暖化対応は難しいということを示している。それ以外のことを必死にしなければならないだろう。古いビルのエネルギー効率を上げるのが意外に大きな効果をあげることがロッキーマウンテン研究所のデータからも分かる。それ以外には、どうしても風力発電の増強を政策で推進しなくてはならないし、石炭火力発電所からの排出炭酸ガスの回収・地下埋設技術の早期完成も同時並行でやらなくてはなるまい。後者のCCCSは、地下に圧入した炭酸ガスが漏れるから危険だという人もいるが、全部が漏れ出すとは考えられず、また漏れたとしても周辺にはほとんど影響を与えないだろう。原発からの廃棄物貯蔵の方がはるかに危険だ。電気自動車も早期普及させるなど、できることは全部やらなくてはならないということだ。