効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

原発、アメリカ、オーストラリア

オバマ大統領が米国内での原子力発電所の新設再開に向けて、米国の電力大手が建設を計画している2基の原発に83億ドル(約7,500億円)の政府保証を供与する方針だ。政府保証は1979年のスリーマイルアイランドの事故以来約30年で初めてとなる。この2基は2016年と17年の稼働を予定している。ただし、建設認可を貰うためにはその地域の人たちの合意を得なくてはならない。その見通しが確実になったのだろうか。米国の友人に一度尋ねてみよう。いま米国では風力発電と太陽光、熱、発電が急速に規模をのばしている。もちろんそれだけで炭酸ガス排出削減目標を達成するのは難しいのは分かるが、この政府保証は産業防衛、国の安全保障にからむものだろう。原発からの高レベル放射能廃棄物の処分場がまだ決まっていないのにこの動きは、共和党に押し負けたのかもしれない。
一方、まだ原子力発電設備を持たないオーストラリアが、設置の方向に動いている。これまで自国に豊富にある石炭で発電してきたが、地球温暖化対応として一足飛びに原発という判断をするのは信じられない。国内に豊富な天然ガスをエネルギー源として持っているし、太陽光発電を設置するスペースは有り余っているはず。太陽エネルギーの利用ならば、1〜2年で稼働させることができるし、コストも急激に下がりつつあって、間もなく補助金なしに設置しても電気料金と等価になるとも言われているのだから、どうして原発に走るのだろう。太陽だけでなく風力発電も未開拓の筈。そしてこれを天然ガス利用の高効率コンバインド発電と組み合わせれば、変動しやすい自然エネルギーの動揺を補うこともできる。原発ということになれば、これから設計を始めると、早くて10年先の稼働だし、パブリックアクセプタンスを考えるともっと長くかかるだろう。オーストラリアの国策としても最低の判断ではないだろうか。