効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

東電がフィリピンで小水力発電所

少し前に知ったのだが、東京電力がフィリピン・ルソン島北部のイフガオ州にある世界遺産の棚田群を保全するために、200キロワット出力の流れ込み式小水力発電所を建設し寄贈した。08年12月から工事が始まり、昨年12月に完成し、この1月22日に式典が行われている。東電は電力首脳会議e8加盟会社の一員で、このプロジェクトは08年6月のe8カナダ・サミットで承認され、同年7月にフィリピン・エネルギー省朝刊とイフガオ州知事との間で協力覚書が締結された。フィリピン政府に寄贈されたこの設備は2年後をめどにイフガオ州政府に譲渡される見込み。設備の運営は当初からイフガオ州政府が受け持つそうだ。発電された電気は地元の配電組合に売電し、その収益の一部を「コルディリェーラの棚田群」の保全基金に活用し、潅漑設備や山林の整備などを行う仕組みになっている。
このe8は、1992年のリオサミットの時に結成された非営利の国際組織でG8国の主要電力会社10社から構成されている。世界の電力を巡る課題を解決し、持続可能な開発をするのがその目的だ。米国のAmerican Electric Power, Duke Energy, フランスのEDF、イタリアのEnel、カナダのHydro Quebec、Ontario Power Generation、ロシアのRUSHYDRO、ドイツのRWE、そして日本の東京電力関西電力がメンバー。このような組織があることをこれまで知らなかった。世界に対する社会貢献をする組織だと言える。
このニュースで認識したのは棚田には必ず水の流れがあるということだ。日本でも棚田は次第に消失の危機にさらされている。世界遺産ではないとはいえ、景観の面でも生態系の維持の面でも、水の利用をこのような形で行うことで維持管理コストを賄うような方式が考えられれば良いのにと思う。日本の場合、棚田を維持する人の問題もあるだろうが、何か良い施策がとれないだろうか。これから小水力発電地球温暖化対応策としての役割も大きくなるはず。売電価格を高くするフィードインタリフ(固定価格買取制度)の導入もその一つだろう。