いまインドを訪れている鳩山首相の訪印を機に、日本とインド両政府は、インドの首都ニューデリーと西部の商業都市ムンバイの間でインフラ整備と産業集積を進める「産業大動脈構想」について、日本の環境技術を導入し、温暖化ガスの排出を抑えた開発を目指すことで合意したと報じられている。計画ではまず、産業大動脈構想の対象地域に「モデル地区」を設定し、電力需要を太陽光や風力、バイオ燃料など再生可能なエネルギーで賄う仕組みを導入するとのこと。廃棄物の再利用や水資源の有効活用するほか、都市交通のシステムを日本から持ち込み、一部の費用に円借款を充てることも検討する。
これにはこれまで日本で実証試験をしてきたマイクログリッドの技術が利用できる。再生可能エネルギーばかりで産業のエネルギー全てを賄うのは無理だから、通常の系統に接続する形になるだろう。太陽光発電とか風力を利用するはずだから、系統を混乱させないためにも多分大型の蓄電池も設置されるだろうが、これは系統との関連で、あるいはバイオマスなど制御可能な発電システムとのバランスで容量は決まるだろう。これに需要側の工場などの負荷に信号を送って運転を制御できるようなシステムが応用されるようになれば、スマートグリッドのアプリケーションになるといっても良いだろう。日本の制御技術がここで認められればうれしいことだ。まず小さなスマートグリッド同士が発電や需要の情報を交換して相互補完的な稼働をすることができれば、この柔軟な系統制御を積み重ねて拡大することができる。というのは簡単だが、おそらく伝統的な制御理論を超えた情報の処理とデジタル制御が開発されなくてはならないだろう。成功してほしいものだ。