効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

泊原発の営業運転開始

北海道電力泊原子力発電所の3号機(91万2千キロワット)が今月22日から営業運転を開始した。これで北海道電力保有する原発の発電設備規模は207万キロワットとなる。総発電能力はこの3号機を加えて約740万キロワットとなり、原発が約28%を占めることになった。そして、泊原子力発電所が同社の総発電電力量に占める比率は従来の約25%から約40%にまで高まることになると報道されている。原発は常時フル稼働しなければ経済性を発揮できないし、出力を変動させるのは安全性の維持の面でも望ましくない。だから発電量に占める比率は当然高くなる。そして、北電管内の電力需要が深夜などに大きく落ち込むと、原発以外の発電機の出力を絞って需給バランスをとらなければならない。ところが同社は出力変動を柔軟にしにくい石炭火力発電所の比率が高い。もし多くの風力発電設備が導入されて、もっとも電力需要が落ち込む時に強い風が吹いてどんどん発電することになると、全体の発電量を絞り込めない事態になる可能性がある。
この20日に東電が北電から風力発電からの電力を買うことになったと書いた。その時には泊3号機の稼働開始は知らなかったので、単に興味ある動きだと思ったのだ。しかし、増量された原発の稼働を安定的に行いながら今後風力発電を導入しようとすれば、余剰分を北電管内から別のところに使って貰えなければ、北電全体としての系統制御がやりにくくなるから、東電が支援策を打ち出したのではなかろうかと思うようになった。また、東電が北電から電気を買うとすれば、東北電力の系統を経由しなければならない。だから東北電力風力発電からの電気も買う方向になったのだろう。問題は20日にも書いたように北海道と本州を結ぶ連系線の容量が60万キロワットしかないということだ。この容量全部を風力からの電力輸送に使うわけにはいかない。今後日本が地球温暖化対応に力を入れざるを得なくなれば、この容量を倍増以上にしなければならないのではないか。技術的課題はなく、コストを誰が負担するかが問題となる。もし政府が風力発電についても固定価格買取制度を適用することに踏み切るとすれば、ややこしい話になるかもしれない。