効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

天然ガスと政治力学

ロシアがトルクメニスタンから、今年4月から受け入れを停止していた天然ガスを輸入再開することになった。ガス輸出をロシアのパイプラインに依存していたトルクメニスタンが、この間ここで書いたように中国へパイプをつなげて輸出できることになったことがその背景にあると報じられている。輸入再開だけに止まらず、いままで安い価格でしか引き取らなかったのを欧州向けと同じ価格に引き上げている。これは間接的に欧州への天然ガス供給にも安定性をもたらすことになるだろう。トルクメニスタンの埋蔵量は世界第四位だということをこの記事から知った。4月にロシア向けのパイプラインが爆発事故を起こしたのをきっかけにガス供給が止まっていたのだが、新パイプラインの建設やガス田の開発について両国は協力することになったという。これまでロシアにしか売ることができなかったのが中国という大きな胃袋を持つところに販路ができたために、ロシアも従来のように大きな顔をできなくなったのだ。
これと同じようなことが欧州との間にも起きようとしている。ロシアを経由しないで欧州にガスを供給するプロジェクトが進行しているのだ。いま盛んにいわれているスマートグリッドによるエネルギー供給が、欧州がロシアに依存するエネルギー供給の比率を下げるという国家安全保障の側面もあることも知っておかなければ、EUの温暖化対応の姿勢を理解する時に間違うことになる。たとえば1980年代の英国は北海の石油・天然ガスを輸出していたのが、その枯渇とともにロシアからの輸入に依存せざるを得なくなっている。英国全体のエネルギー効率を上げることが、輸入量を減らすことに通じるのだ。トルクメニスタン、ロシア、中国が天然ガスの輸出入について新しい動きをしていることが日本にどのような影響を与えるか、一度考えてみなければなるまい。