昨日中国にしか産出しないレアアース金属を使わないと、電気自動車用の小型で強力なモーターに使う磁石が作れないと書いた。ところが今日届いたNEDO情報によれば、NEDOの次世代電気自動車向け研究開発プロジェクトの一環として東京理科大学の千葉明教授は、世界に先駆けてハイブリッド車(HEV)などの次世代自動車用モーターとして実用化が期待されているレアアース(希土類元素)を用いないモーターの小型化に成功したということだ。必要に迫られればということになるのかどうか分からないが、素晴らしい技術開発ではないかと思う。
レアアース金属を使った強力な永久磁石の代わりに金属線で電磁石を作ってモーターに使うことはできる。ただ、これまでの技術であれば、どうしても大型化し、自動車に乗せて実用的に使えるほどのものはできなかったと聞く。ところが昨日書いたような事情で国外に資源を依存せざるを得ないネックを解消するのに国が取り組んでいたのだ。今回の発表のタイトルに、「磁石を使わないハイブリッド車用モーターを開発」とあり、「実用化されているモーターと同等以上の性能を実現」としているのは、余程の自信がある開発成果なのだろう。巻線で18個の固定子を作り、それで12個の回転子を回すような構造になっている。モーターの部品である回転子や固定子の数がトルクと関係していることが明らかとなったため、回転子と固定子を増加させた18/12極モデルを設計。また、固定子に傾斜(テーパー)をつけることで、トルクの増加に繋げたとしている。ハイブリッド車や電気自動車用モーターは、利用が多い低出力時の効率がより重要になるのだが、このモーターは低出力時に大きなトルクが出せて効率が高くなるので、磁石を使うものより良い性能を出せるそうだ。一日も早い実用化を期待している。