効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

関西電力のメガソーラープロジェクト(2)

低炭素社会の早期実現と、出力変動など系統に連系するうえで発生する課題の検証をいち早く実施する狙いで、一部を10年11月に運開することとした」と昨日紹介した。この意味を考えてみた。日本の電気事業は太陽光発電の導入拡大を麻生政権の時に押しつけられたと思っている。太陽光発電の導入目標を2020年に現状の20倍の約2800万kW、2030年に30倍の約5300万kWと上積みしたのだった。それに対し資源エネルギー庁は電力会社の代弁をして、太陽光発電が5300万kW導入された場合の対策コストが7兆円かかり、その中でもっとも大きなものが変動を吸収する蓄電池の設置で、6兆円かかるとしている。おそらくこの裏付けをできるだけ早くしたいから一年早く一部を稼働させるのだろう。しかし、蓄電池の設置が唯一の方策だろうか。
現時点の政策では、この目標は殆どが住宅の屋根に設置されるものが中心となっているから、メガソーラー設備をそのまま使って検証するのは難しい。住宅が集まっているような形で分離設置をし、それらが接続される配電系統を幾種類も想定してシミュレーションしなければならないだろう。さらには、蓄電池の代わりに既存の火力発電所の出力を変動させたり、エンジンやタービンを使ったコージェネ燃料電池が変動を吸収するような制御をするといった検証もやってほしいものだ。太陽光発電は昼しか発電しないということは自明のことだから、いまピーク負荷に対応して稼働している火力発電所の制御でも十分対応できるはずだ。一番の問題は、同じ配電系統に多くの太陽光発電設備が集中して設置され、住宅の電力消費よりも太陽光発電からの発電量が大きくなったときに、電気が配電系統を逆流する可能性があることについて、どのように対応するかだろう。蓄電池も一つの方策であることは確かだし、電力会社としてはこれが一番制御しやすいものだろう。しかし、配電系統の接続方式を変えて制御したり、パワーコンディショナーの制御で対応させたりなど、いろいろ考えられるはずだ。そして情報公開をぜひやってほしいものだ。