サンヨーホームがバックアップ用の蓄電池を備えた住宅の販売を始めた。これは太陽電池メーカーでありかつリチウムイオン電池のメーカーである三洋電機の戦略商品になるだろう。この住宅は3.78kWの太陽光発電装置を屋根に取り付けただけでなく、その発電電力だけでなく安価な深夜電力を貯めることができる1.57kWのリチウムイオン電池を備えている。太陽光発電については余剰分がキロワット時あたり48円で電力会社が買い取ってくれるから、深夜に蓄電しておいた安い電力を昼間に使い、太陽光発電装置からの電力をできるだけ多く売電することによって、電気代を削減できることになる。リチウムイオン電池でなければならない訳ではない。ただ、これを使えば設置に必要なスペースが少なくて済む。この値段が下がれば、追加の蓄電池を望むユーザーも出てくるだろう。このシステムだけの価格は5〜60万円らしい。近い将来には8万円くらいに下がるらしいから、自分でも実験できるかなと思う。
こうなると、プラグインハイブリッド自動車や電気自動車の蓄電池よりも早く実用的蓄電システムが普及するかもしれない。自動車に比べれば重量の制約もないので、信頼性と耐久性さえ確認されれば、後はコストが魅力的な段階まで下がれば単独の蓄電システムとして売れるだろう。これは災害時など電力供給が止まったときにも系統と切り離して最小限の電気を使うことができるから、公共施設などにも採用されるものともなる。
蓄電池がベースにあることになれば、住宅の直流化の普及が望ましい。その方が電力の消費効率が高くなるからだ。また、この住宅でも採用されているようにLED照明などと組み合わせたシステムも普遍化するだろう。まだ直流住宅の規格ができていないので、折角効率の高い直流を交流に変換して使う時代がしばらく続かざるを得ないのは残念なことだ。