効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ドイツの風力発電

ドイツの風力発電設備容量は昨年まで世界一だったが、昨年末の時点で米国に追い抜かれた。これは陸上に適切な場所を見つけるのが難しくなっているからだろう。昨年の設置量は前年よりも少なくなっている。欧州諸国は一般にこのような状況にあるようで、新しい場所を求めて洋上風力発電建設プロジェクトが目白押しになっている。この間つきあった英国の電力会社の人から聞いたのだが、英国北部の洋上に大規模なウインドファームを建設し、あまりに大規模で近くの系統では吸収できないために需要地であるロンドンに向けて高圧直流送電を新設するそうだ。洋上風力の場合、陸上への送電にはほとんど直流が使われている。その方がワイヤーの数が交流の3本に対して2本ですむし、海底埋設に適しているからだ。
昨日聞いたドイツの風力発電に対するフィードインタリフは、風況によって買い取り価格を変えているそうだ。いわば、風力発電事業が何とか継続できるだけの収益性を与えるという発想だ。だから風況があまり良くなくて稼働率が低い場合、事業維持のために高く買うのではなく、買取をしないということもあるという。何が何でも風力をというわけではないということだ。
いま日本で再生可能エネルギーからの電力を固定価格で買い取る施策の実現に向けての検討が始まっている。まず太陽光発電からの電力を全量買い取る方向に行くのかという問題がある。これについては既存設備については全発電量を計量するためのメーターを新たに設置しなくてはならないようで、それだけにかかるコストも一軒あたり数万円になるし、全数に取り付けるのに1〜2年はかかるそうだから、実現しても新規設置のものたけに適用される可能性もある。
風力についてはおそらく固定価格にはならないだろう。ドイツのような事業継続性の基準で買い取るとしても、現在の系統のままであれば促進的なものにはできないはずだ。大型蓄電池を備えない限り各電力会社を繋ぐ系統の容量を増やさなければ実現できないし、そのコストを誰が負担するのかという話になるだろう。
バイオマス発電や小水力発電については、その総発電量自体が風力のように大きなものにならないし、運転も制御できるから促進的なフィードインタリフを導入しても良いと思う。この場合、電力会社が系統接続について厳しい条件をつけたりしないようにしてほしい。これこそ地域活性化の源となるはずだからだ。
昨日の日記にコメントをいただいた。それについてはまた。