効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

太陽電池だけで飛ぶ有人飛行機

今日のDaily Yomiuriが英国のTimesの記事を紹介している。1ページを使っているからインパクトのあるものとなっているが、内容は太陽電池を張りつけた翼からのエネルギーだけで飛ぶ飛行機が今月には最初のテスト飛行をするというもの。いままで無人のものは幾つか作られていて、NASAなどがかなりの飛行記録を作っている。しかし、今回のものはパイロットが身動きできない狭いコックピットに入って操縦するもので、20分以上眠っていると墜落する可能性もあるものだという。限られたエネルギーで飛ぶには重量をできる限り小さくしなければならないが、人間の重量が設計にとってもっとも難しいものであることはよく分かる。
この飛行機はSolar Impulseという名前がつけられている。これを推進しているのは、1999年に熱気球で世界一周を成功させたスイス人の冒険家、ベルトラン・ピカール氏のチーム。チューリッヒ近郊のデューベンドルフ飛行場で6月26日に公開されている。ピカール氏は冒険家の血筋だ。祖父オーギュスト・ピカール氏は気球で初めて成層圏に到達した。父のジャック・ピカール氏は初めて最深の海溝に潜航してそこにも生き物がいることを証明した人だ。今の計画では、一人のパイロットが5日間休まずに飛行し、その後着陸して交代したパイロットがまた5日間ノンストップで飛ぶのだそうだ。翼の長さが63.4メートル、全長21.85メートル、重量1600キログラム。1万2千枚の太陽電池主翼と尾翼に張りつけられている。4つのプロペラで飛ぶ。翼の長さはエアバス(260トン)のそれと同じ。リチウムポリマー電池を搭載しているが、その重量が全体の4分の一を占めている。夜にはこのバッテリーだけではなく、グライダーのように下降しながら加速する。簡単な自動操縦装置がついているが、20分ごとに人間がチェックしなければならない。20分ごとに目を覚ますよう、飛行服が振動するようになっているそうだ。体重を下げ、極小量の食事で5日間を耐えられるように訓練しているとのこと。
http://www.solar-impulse.com/で写真を見ることができる。
必要な費用は全部で1億5千万ドル。多くの企業が寄付している。いま一般からの支援を募っていて、機体に取り付けられた太陽電池に名前が刻まれる。