■空飛ぶ車用モーターの軽量化

デンソーが「空飛ぶクルマ」に使う基幹部品の開発を急いでいる。米重電大手のハネウェル・インターナショナルと連携し、軽くて高品質な電動プロペラ部品の供給を計画しており、このほど搭載するモーターの重量を3分の1にするめどをつけた。2022年中に部品を搭載した機体での試験飛行を予定しており、自動車部品に次ぐ新たな経営の柱にすることをめざすと今日報じられている。

空飛ぶクルマは従来の航空機にくらべて簡単に操作でき、都市部でも乗り降りがしやすいといった特徴がある。渋滞解消の切り札として期待されており、スタートアップや航空機大手を含めた世界中の企業が20年代の実用化を目指し開発にしのぎを削っている。米モルガン・スタンレーは40年までに全世界の市場規模が1兆5千億ドル（約163兆円）に成長すると予想する。

空飛ぶ車の部品には大きく3つの課題がある。可搬重量や積載する電池を増やすために軽量化が不可欠だ。高速で回転するプロペラで発生する熱を効率良く逃がす冷却性能、空を飛ぶ乗り物に求められる信頼性も求められている。

デンソーはモーターの体積当たりの出力量である出力密度を、従来の電動車向けと比較して3倍にするめどをつけた。これにより重量を3分の1にすることが可能になる。構造材料は鉄から高強度で軽い炭素繊維強化プラスチックに切り替え、磁石の配置を工夫し使用量を増やすことなどで出力密度を引き上げた。それにしても3分の１とは思い切った目標を建てたものだ。しかもその実現が現実になろうとしている。

人の欲望はどこまで行くのだろうか。不老長寿は御免被りたいが。

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