効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

安価なバイオ燃料

トヨタ自動車神戸大学が、稲わらなど非食料系の植物からバイオ燃料を効率よく生産する技術を開発したと昨日報道されている。これまで二段階に分かれていた生産工程を一つに削減できたために、生産コストは従来の3分の一となり、製造費ではガソリン並みの1リットルあたり40円が実現できるという。5年後をめどに実用化する考えとのこと。
バイオ燃料は植物を「セルラーゼ」という酵素で分解した後、酵母菌で発酵して作る。今回のコスト削減は、遺伝子組み換え技術を使って、分解と発酵を同時にこなす酵母菌を新たに開発したことで実現した。稲わらなどが分解しやすいように、「イオン液体」という特殊な液体に浸して酵母菌を入れると、酵素を加える必要がなくなり生産コストが大幅に下がる。今後実用化に向けた製造技術の研究開発費は、経済産業相から支援を受ける。
バイオ技術の進歩には目を見張るものがある。遺伝子組み換えが日常的に行われるなど少し前には考えられなかったことだ。とはいえ、この成功の陰には累々たる失敗があるはずだ。酵母菌といってもその種類は多いから、いろいろ繰り返し実験して相性のよいものを見つけなくてはならない。それは時間との勝負ともなる。さらに効果的な特性を持つものがどこかで発見される可能性は小さくない。いま非食料系の植物を液体燃料にする研究は世界中で行われている。もちろん酵母などの細菌を使わない方法も研究されてはいるが、通常の化学的操作で行うのにはどうしても多量のエネルギーが必要となる。日本が得意とする酵母が、世界が直面する問題を解決するのに貢献して欲しいものだ。
この燃料を使ってエンジン・タービン発電、燃料電池発電などができるとすれば、大規模発電所よりも家庭用や業務用の小規模分散型発電に使用しやすいだろう。その時に生まれる電気を、再生可能エネルギーとして少しは高く買い取るようになってほしいものだ。