効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電の地域特性

ブログ「風力発電と子育て日記」の管理人kynthmさんから以下のようなコメントをいただいた。
風力発電の話が出ているので一言コメントさせてください。日本は風が安定していないのでヨーロッパと比べて風力発電に向いていないとよく言われますが、ヨーロッパの風況が日本と比べてすばらしく良いというのは幻想ではないでしょうか。
2008年の風力発電の設備利用率は世界第2位の風車大国ドイツでは20.5%です。また、英国が設備利用率30%であるのを除けば、25%を大きく上回っている国はオーストリアギリシャぐらいのようです。日本に風車が向いていないというのは、風力発電嫌いの(苦笑)電力会社の陰謀ではないでしょうか?(半分冗談、半分本気です)。」
おっしゃるように、風力発電設備の設備利用率は、日本と世界とそれほど違わないでしょう。風がよく吹くところに設置されているからです。ただ、風の吹き方に地域的な特性があるように思っています。昔カリフォルニア郊外のウインドファームを見学したときに、夕方近くにゆっくりと風車が順番に回り始め、次第に一定の風が強くなって吹いていました。風に乱れがなかったのです。日本の場合、急峻な山と海の距離が近いところが多いために風の変化が大きいようには思います。この変化の違いが系統への影響に大きな差を生み出しているかどうか、日本ではあまり検証が行われていないようですね。北海道は大陸型の地形ですからゆったり風になっているでしょう。風車自体に慣性がありますから短い変動は平準化されるでしょうし、長めの変動は系統で吸収できるはずです。また風車が複数あれば、変動の平準化が効果的に行われることは米国の再生可能エネルギー研究所のデータで明確に示されています。
どうも日本の電力会社は、自前の設備以外のものからの電力を系統に受け入れることに積極的ではありませんし、各電力会社はそれぞれ自己完結型の系統制御をしているのが、欧米の系統との大きな違いだと思っています。欧米ではある地域で賄いきれない出力変動があると、他の系統に流すことができますが、日本の場合、各社の連系線の容量が小さいために、吸収しきれない変動を他社の系統に分担して吸収して貰える体制になっていないのが基本的な違いではないかと考えています。それを理由にはできないので、風力は系統の周波数を変動させて有害だと言うのでしょう。