水道の落差や工場の排熱など、利用されていないエネルギーを使う小規模発電を増やすために、経済産業省は規制緩和の方向に向かうという。
小規模の水力発電は浄水場から配水池に流す水道管の水や、農地の中を流れる水路の数メートルの落差を利用する。また、ボイラーの蒸気を減圧して使う場合、減圧弁の代わりにタービンを使って圧力を下げ、そのタービンに発電機を付ければ小規模発電が可能となる。このような小規模発電が可能な場所は全国で見れば無数にある。ところが、現在は、10キロワット以上の発電設備の建設には、電気やボイラーに関する資格を持つ主任技術者の選任や、工事計画書の届け出、保安規定の策定など、巨大発電所と同等の管理体制が必要だとされる。そのため新規の設備を建設することはこの規制をクリアーするためだけでも多大の労力とコストがかかるために難しい。
小規模水力発電の場合、千キロワットまでは新エネルギーとして最近認定されたために公的補助がつくようになっているが、大規模発電所と同じ規制がかかるとすれば補助があってもなかなか実現は難しいだろうと想像できる。燃料電池についても初期の開発段階では発電所としての規制がかかったために住宅の敷地内に設置するなどとんでもないことだった。それを関係者がいろいろ根回しして特別の認可を貰ったから、商品として販売できるようになったのだ。天然ガスを燃料に使う自動車についても、ガスを高圧にしてタンクに保存しなくてはならないが、その昇圧充填設備の設置に厳しい規制がかかって、一般の事業所などに設置が事実上できなかった。それも地道な努力で規制緩和がなされて、今のように多くの天然ガス自動車が走れるようになったのだ。
小水力についてはなぜ千キロワットまでしか新エネルギーに認定されないのかよく分からない。ダム式でなければ環境破壊も少ないから、上限を外すかもっと大きくすることはできないだろうか。富山地方には豊富な湧水がある。それを利用すれば小水力発電は幾つも成立するはずだ。減圧弁をタービン発電に切り替える方式は、そのようなことが出来ると気づいていない事業者も多いはずだ。これも新エネルギーとしての認定をして、補助策を講じれば、設置できる数は膨大になるのではないだろうか。商品開発も進むだろう。