効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

インドでの共同発電

Kynthmさんから7月18日の内容にコメントをいただいて、ご返事しようと思っていたのだが、今日の日経夕刊に面白い記事が出ていたので、それを先に書くことにする。
日本からインド北西部の日本企業向け工業団地に進出している日本企業10社が連携して発電事業を展開するということだ。インドは途上国特有の電力不足に悩まされ、この進出企業も常時停電の脅威にさらされている。進出企業毎に自家発を持って対応してきた。それでも系統からの電力が止まれば、それへの対応は必要となり、製品の品質だけでなく、プラントの故障につながる可能性もある。
今回、各企業が持っている自家発電用のディーゼル発電機約40基、総計すると2万キロワット容量のものを相互に繋いで、電力を融通できるようにする。まさにマイクログリッドを団地に作ったことになる。工場によって電力需要の変動が異なるから、相互融通すれば余裕も出てくるだろう。共同出資の発電事業会社が各社の発電機を賃借し、発電機の稼働を制御する。無駄な発電を減らせるため各社はコスト削減を期待できるとあるが、かなりの効果が出るのではないか。いま持っている設備を利用するから、制御システムと連系線の設置コストで済む。
12年以降には発電会社が独自に3万キロワット級のガスタービン発電機を導入するそうだ。工業団地近くに現地政府系企業が敷設予定のパイプラインから天然ガスを引き込んで燃料にする。おそらくこの場合、コンバインドサイクルにできるだろうから発電効率も50%くらいは出せるかもしれない。ディーゼル発電の発電効率内燃機関のものとしては高いが、大気汚染の問題とディーゼル燃料価格の変動が不安定要素となるだろう。新設パイプラインからのガス価格がどれくらいになるか、足下を見られて高くなったとしても総合コストはおそらく安くなるだろう。従来電気を供給していた現地の電力会社としても、当面余剰電力を買うことができるし、工業団地が拡大しても、系統投資をする必要度が下がるはずだから大歓迎のはず。最終的に各社が個別に自家発電するのに比べて少なくとも25%のコスト削減を狙うというが、達成できるのではないか。途上国へ進出する企業にとって一つの良いモデルになると思う。
インドは風力発電が急速に伸びている。もし近くにウインドファームがあれば、この変動を吸収するような稼働になるよう制御できれば、これこそスマートグリッドの実現になるというのは言い過ぎだろうか。