効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

家庭用太陽光発電の電力会社による買い取り

昨晩NHKのテレビで、地球温暖化対応施策として日本が二酸化炭素排出を2005年に比較して15%削減することの妥当性について視聴者参加の討論会を見ていた。その中で、家庭用の太陽光発電について、自家消費を超えて発電した余剰電力を電力会社に強制的に高く、いまの家庭用電力価格の2倍ほどで買い取らせ、そのコストアップを広く電力消費者全体で負担することの是非が論じられた。まだ制度自体が最終的に定まったわけではないが、コストアップは標準家庭で一ヶ月に100円ほどだとされている。これに対する賛否はほぼ半々だった。
その議論の中に、金持ちだけが太陽電池パネルを設置できるのだから、その人たちが電気を高く買って貰って儲けていて、それを買うなど考えられない所得層の人が高い電気料金を負担するのは納得できないという論があった。これは法案審議の過程でも電力会社や一部の消費者団体が主張したことだ。この論には大きなまやかしがある。
相対的な高所得者、すなわち手持ちのお金がある人が太陽電池パネルを設置できるというのはそのとおりかもしれない。しかし、そこで出した設置費用を、余剰電力を高く売れることで得をする電気料金で回収するのには15年ほどかかかるとされている。ところが、余剰電力を高く買ってくれるのは、10年間になるようだから、資金に余裕がある人達も、トータルすれば最初の投資資金を回収できない、すなわち、儲けることにはならないということだ。だが、この太陽光発電によって二酸化炭素排出を減らすことは確かなので、その満足感で高所得者は損をしても太陽光発電パネルを設置しているのだ。地球温暖化防止は世界に対する日本の責任、ということは日本国民の責任だから、全員に責任があるはずだ。とすれば、このようの高所得者も損をする制度になっているのだから、金持ちだけが得をするような制度という表現は、一見そうかと思わせるだけに極めて悪質なものだと思う。みんなが少しずつ損をして責任を果たしているのだというように理解すべきことだろう。ドイツの場合には投資資金は高い買い取り料金で儲けることができる制度になっているのだが、日本の制度はそれほど促進型にはなっていない。