効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

歴史的建造物の喪失

今日の毎日新聞に、大阪のシンボル的な建物である大ビルが取り壊されることになったと出ている。大正年間にできたビルであるだけに、現在の耐震基準に合うように手を入れるコストを考慮すると立て替えた方が良いということにビルのオーナーが決めたようだ。しかし、歴史的な価値をどのように評価したのだろうか。このビルは別に老朽化しているわけでもないし、みすぼらしいどころかよき時代の大阪を感じさせる雰囲気を持つ建物だ。玄関入り口周辺には最近の建物にはないデザインの装飾があって、建物全体にもどっしりした落ち着きが感じられて好きなビルの一つだった。御堂筋のガスビルに新しい部分を増築するときに、古い部分のデザインを引き継いで、最近のものであれば階数を増やせる高さであるところを、天井の高さを揃えて古いビルと同じ階数にしている。経済性を考えるだけなら一部にだけ接続部を作って階数を増やすこともできたはずだが、それをしなかった。大ビルについても同じようなことが考えられなかっただろうか。ニューヨークのエンバイアステートビルの改修にあたって、既存のものをできるだけ利用しながら、高水準のグリーンビルにしようとしているが、このようなアイデアを入れた改修をすることによって、ビルの価値を高めることはできたのではないかと思う。
今の大阪市庁舎も、中之島地区に建っていた美しいビルの一つとして存在感があったものを、機能性に欠けるというだけの理由で取り壊し、まったく中之島の雰囲気に合わない事務所ビルを造ってしまった。大阪人の恥だと思う。その前にある日銀の建物を改修するときに、御堂筋に面する部分のデザインを残しているのと大きな違いだ。なくしてしまったものはもう元には戻らない。大ビルについては、オーナーだから全て何でも自由にできると考えるのがそもそも間違っている。大阪の貴重な文化財としてどう扱うか、大阪市民や第三者機関の判断を経る機会を設けるという手続きを踏むべきだったのではないか。