効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

MOX燃料受け入れで思うこと

原子力発電所で使用済みの核燃料を再処理して、ウランが核分裂した結果できたプルトニウムを取り出して精製し、核燃料にしたものがいわゆるMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料である。これの日本搬入が進行中だ。これを使う原発プルサーマル運転をすると云われるが、現在の原発はこのような燃料を使うことを全く想定しないで設計されているから、安全に運転できるかどうかについて疑問は多い。それはそれとして、別のことを考えるようになった。
原子力発電は「発電するときには地球温暖化ガスである二酸化炭素を出さない」から温暖化抑制に貢献すると電力会社は主張し、政府も原発を推進する主な理由に挙げている。しかし、このMOX燃料を作るのにどれくらいのエネルギーを消費しているだろうか。もっと遡れば、当初のウラン燃料を製造するのにどれほどの電力を消費しているだろうか。太陽光発電について、発電素子を作るのに大量の電力を消費するとされて問題視された時期があった。これと同じように、核燃料の製造と使用済み核燃料の処理にどれほどのエネルギーが必要なのだろうか。自然に存在するウランは微量であって、それを核分裂ができるまでに精製濃縮するには大量の電力が必要なはずだ。核燃料として使えるのはウラン235であって、その同位元素であるウラン238と分離しないといけない。化学的に分離させることはできないから、僅かな重量差を利用して物理的に行われる。高速遠心分離器やフィルターを多段に重ねて処理されると聞くが、その電力消費は膨大なはずだ。その処理は日本ではないからといって、地球レベルで云えば問題となるはずだ。その消費電力量について何か具体的な数字がほしいと思っている。核燃料の輸入は、その処理に使った電力を発電するときの二酸化炭素の量を表示して行われるべきではないかと思う。基本の疑問はその電力を原発の運転で取り返すにはどのくらいの時間がかかるのだろうかということだ。