大丸心斎橋店は、W.M.ヴォーリズが設計したものだ。かれは熱心なキリスト教宣教師でもあった。関西学院大学の上ヶ原キャンパスも彼の設計によるもの。J.フロントリテイリングと大丸松坂屋百貨店は、大丸心斎橋店本館の建て替えにあたり、御堂筋側の外観を保存し、内部の特徴的な意匠を継承することを決めたようだ。いわゆる近代的な建築デザインで新築するのではないかと思っていたのだが、嬉しい話だ。近隣に建つビルとの調和もあるだろうが、あの心が安らぐデザインは継承する価値の大きいものだと思う。心斎橋筋側はデザイン変更をするのかも知れないが、周辺は商店ばかりだからそのまま継承しても良いように思う。そしてこの改築に当たっては是非、古い建物の改築でも、エネルギー効率を大きく高めることができ、エネルギー関連の改築に向けた投資が数年で回収できることを示してほしい。エイモリー・ロビンスは近著、邦題「新しい火の創造」で、エンパイア・ステートビルの改築で投資を3年少しで回収できたことを述べているが、エネルギー効率向上も主要目標にしてほしいものだ。
