効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

下水から金

今日の産経新聞に出た記事だが、長野県諏訪市下水処理場の汚泥を焼いた灰をさらに高温で溶融した後に残る廃棄物「溶融飛灰」と呼ばれるものの中に、通常の金鉱が含む金の比率の何倍も多い金が含まれていた。さらに、溶融炉から煙突につながる「煙道スラグ」と呼ばれる約10メートルの配管にたまった溶融飛灰に、“超高濃度”の金が含まれているのが分かったのだ。それらから金を回収したところ下水処理場の稼働に必要な経費を補填できる大きな収益が得られたということだ。県が得た利益はすでに4000万円に上り、今後も定期的に金が検出される可能性が高いという。日本下水道事業団(東京都新宿区)によると、下水からまとまった金が採取されたのは全国で初めてのこと。
なぜ金が下水に含まれているかについて確たる理由は分かっていないようだ。諏訪市周辺には精密機械工業が集積しているため、その半導体基板などを製造した時の廃液が下水に流れ込んでいるという説もあれば、地殻構造から見て温泉の湯が流れ込んで、その中に金が含まれているという考え方もあるらしい。いずれにしろ金が入っていることは確かなのだが、下水をもっと調べると、他の希少金属類も多く含まれているかもしれない。楽しい話ではある。
下水汚泥をバイオガスにするのは各地で行われている。発生するメタンリッチなガスをエンジンの燃料に使うが、ガス中にシリカ系のものが多くなっていてエンジンに悪い影響をあたえるそうだ。そのためその除去が必要だがコスト増の要因となっている。どこから来ているかを探ると、シャンプーの素材に多く含まれているのが下水に流れ込んでいることが分かったと聞く。下水処理は静脈産業系の事業だが、そのつもりで調べると案外価値の高いものが回収できるのかもしれない。