効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

■下水処理と肥料

肥料の国際相場は、中国が2021年に化学肥料の輸出を制限したことなどをきっかけに上がり始め、肥料の輸出大国のロシアがウクライナに侵攻したことで一気に上昇している。日本は化学肥料の原料の9割以上を輸入に頼っており、国際情勢の影響をまともに受ける農業構造になっている。これを少しでも解消できる方策の一つが、化学肥料から有機肥料への切り替え。化学肥料と違い、有機肥料は家畜の排せつ物や米ぬか、枯れ葉など国内の資源でつくることができる。環境調和型の農業の実現という政策目標にも沿っている。

もう一つは、下水処理から出る汚泥から肥料成分を回収することだ。下水はとくにリンを豊富に含む。リンの大半を中国に依存する日本にとって、肥料不足を防ぐ手立ての一つになる可能性がある。神戸市がこの方策を実施している。神戸市の施設で生産できる量は年間で130トンあるのに対し、21年度の実績は25トン。農家が使ってくれない要因の一つに、これまでと違う肥料を使って作物がうまく育つか農家が心配していることがある。この解消には、実績を見せて農家を納得させなくてはならない。神戸市は肥料の価格が上がっていることを踏まえ、こうべハーベストの購入費を補助する措置を打ち出しているが、これを他の地域にも拡大する必要があるだろう。

北海道は畜産が盛んで、糞尿をメタン発酵させて、そのガスで発電し、その後に残る汚泥を肥料に使っていたが、メタン発酵設備の拡大によって汚泥の量が増え、肥料向けの需要より供給の方が多くなり、その対応に困ったことがあったことを思い出した。だが、その当時はこの有機肥料の販売ルートがなかったから起きた問題で、有機肥料への理解が進んできた現在では、余剰の発生はなくなっている。

どの地方自治体にも下水処理場があるから、メタン発酵で発電すれば、かなりの地域発電ができる。そこで出てくる汚泥の利用方法を多様化させれば、需給バランスはとれる可能性が高い。最近の資料に拠れば、有効利用が進み、埋め立て処分されているのは20%程度のようだ。今後のさらなる有効利用を期待したい。

 

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