効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

クライスラー社が再生の道へ

昨日1日の夕刊に米クライスラー社が4月30日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと報じられた。米国とカナダの両政府が計105億ドル(約1兆円)を拠出して再建を全面的に支援する。懸案になっていたイタリアのフィアットとの資本・業務提携でも正式に合意して、当初2割の出資を受け入れることになった。資産規模は約500億ドル(約4兆9千億円)で、米国製造業の破産法申請では過去最大規模だそうだ。
会社はいくら規模が大きくても破綻するのだということを改めて認識させられた。今回は完全な破綻になってしまうと米国だけでなく世界の経済に与える影響も大きいだけに、巨額の公的資金を投入して再スタートができる舞台を与えたのではあるが、現下の経済状況やクライスラーの経営戦略を見ると、再生が順調に行かない可能性もある。部品メーカーへの影響も弱めるような政府施策が打たれてはいるが、米国の製造業全体に与えるショックは極めて大きいだろう。
いま米国の自動車市場は縮んでいる。ということは古い自動車が走り続けることを意味する。以前ほど長距離を走らないとしても、効率の悪いガソリンの消費が続くことになる。燃料電池自動車や電気自動車の開発を米国のビッグスリーは行ってきたが、まだ実用化にまで至っていない。とすれば燃費の良い車の開発に成功している日本の自動車産業がシェアーを確実に増やすだろう。ひょっとするとビッグスリーの中から日本の自動車メーカーとタイアップするところが出てくるかもしれない。日本としても自動車の輸出が急増することは日米関係や米国の雇用を考えると必ずしも喜んでばかりはいられないはずだ。
オバマ政権はグリーンニューディールの一つとしてプラグインハイブリッド車を推進させようとしている。しかし、米国自動車産業が日本の自動車メーカーより早く商品を提供できないのは確かであるだけに、ここ当面政策の恩典を享受するのは日本のメーカーとなる。しかし、長い目で見た場合、日本の自動車メーカーが米国の利用者が好むデザインやサイズに応えた車を提供できるかどうかは分からない。一方、米国の人の車に対する嗜好がどちらに向かって変化するかによって今後の自動車産業の動向も変わる。クライスラーが本当に再生できるかもここにかかっているだろう。