効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

HP空調の排熱を地中へ

環境省は、ヒートポンプ式空調機器の排熱を地中や下水へ送り込むことでヒートアイランド対策になることを実証するようだ。年度内に各種技術の信頼性を確認し、2010年4月に環境省ホームページなどを通じて対策技術を一般公開する。実証試験の主な項目は、地中との熱交換量、電力消費量、効率、システムの施工性や費用、周辺への影響など。環境省によると地中や下水は熱容量が大きく、空調機器の排熱を流しても急激に温度が上昇することはないという。
ヒートポンプ空調機は冷房時に室内の熱を外気に向けて放出する。夏にエアコンの排気が道路に向いているところを通ると、むっとするのはその為だ。冬には外のエネルギーをとって室内に取り込むために、冷たい外気がさらに冷たくなる。しかし、冬にはあまり不愉快なことはない。エアコンの排熱が問題になるのは夏のヒートアイランド現象を増進させていることが確かだからだ。都心の気温が周辺より高いのはまずHPエアコンが集中して設置されているからだ。この熱を地中に送り込むということは、水のような冷媒に熱を移して配管で地中深くに持っていき、そこでほぼ一定温度の土や地下水と熱交換させて冷やしてやってエアコンにまで戻してやれば良い。理屈はその通りだがそれだけ余計なコストがかかることになる。エアコン自体の熱交換器も基本から設計変更しなければならない。これは戸建て住宅用に普及させるには無理がある。多分商業ビルや高級集合住宅など集中的に放熱しているところで効果が発揮できるのだと思う。それでも従来のものに比べてコスト高になるし、性能にも影響が出ることは間違いない。地中に放出された熱が何かいたずらをしないか、よく調査しないと意外な問題点が出ないとも限らない。
大きな川の傍に立つ集合住宅やオフィスビルであれば、川水に熱を吸収させることができる。この方式を採用しているところも幾つかある。川水も夏冬で温度が大きく変わることはないから、ヒートポンプの効率も大きく向上する。川水の代わりに下水を想定することはできるが、どれだけの水量が必要かなど、実態が分かってはいないはずだ。近くにこのような熱の捨て場がないときに地中へというのは、深く広くパイプを張ってやらないといけないから、かなりの補助金を出すとしても実用的なものにして普及させるのは難しいだろう。