効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

続いて4月19日のブログにコメントをいただいて

18日に続いて19日に書いたものにもコメントをいただいた。高温超電導について書いたのに対し、『国内でも中部電力も一部区間で既に実施しているそうです。送電網の維持管理、電力利用量増加に伴う増設の費用を考えても、高架配線よりも安価になるケースがあるとの説明でした。他にも中部電量は超電導の用途として、キャパシタのような使い方もNEDOの補助事業も含めて実績があるようですが、そちらはあまり普及しそうにないとか。高温超電導の文字を見るたびに、まだまだ(かなり)低温であることにがっかりするのもいつか終わりがくるのでしょうか。』ということだ。中部電力も一部区間で実施しているかについてウエブで調べてみたが、どうもよく分からない。中部電力では研究開発がかなり進展していて、コメントにあるように、コストメリットも実現できることが確認されているようだ。また、交流で送っても電力損失を大きく引き下げることができる線材の構造なども確立されているようで、後は実際の送配電設備に設置されるかどうかだけのような印象である。
高圧で送電する場合、伝統的な方法では高い鉄塔を建てて延々と遠隔地の発電所から、あるいは変電所から太いケーブルを張る。しかし、その鉄塔を建てるコストもあるが、高圧配線そのものに対する地域の反対などで、建設コストが非常に大きくなる。三相交流で高圧の電気を送る場合、電線から磁力線が発生して各相毎の電線を流れる電力が相互干渉を起こすために、一定の距離を保持しなくてはならない。ところが電線が超電導であれば、磁力線の発生が極めて少ないので、相互の距離を短くしても問題がないのだそうだ。しかも超電導で配線の抵抗がゼロだから、準抵抗による送電ロスはなくなる。それだけ有効に使える電力が末端まで送れるのだから、いままでよりも発電所の稼働を抑えることができることになる。
問題は線材のコストがまだ高いのと、長い距離の超電導電線を量産する技術が確立されていないことだと理解している。液体窒素で冷却する必要があるから、それから来る長さの制約もあるだろうし、コストにも影響する。だから、当面は大きな電力を消費する工場や建物への比較的短距離に設置される送電線に使われるのだろう。
コメントにあるように、冷却コストや維持管理費はかかるものの、埋設で設置できることによる当初設置コストの低減やロスの軽減を総合すると、現在でも引き合うものになると聞く。地球温暖化対応のためにも延長距離はこれから増えるのではないだろうか。高温超電導というのは低温超電導に対するもの。低温というのは摂氏マイナス273℃の絶対温度0度に近いところで液化するヘリウムを使うと電気抵抗がゼロになる材料を使うもの。それに対し高温は液化窒素の液化温度マイナス196℃あたりで超電導になる金属系の素材で電線を作るもの。これを使ってコイルを作ると、ここへ注入した電気は抵抗損失がないために長期間保存できる。フライホイールという構造で蓄電する方式にも使える。室温で超電導になる物質はまだ見つかっていないはず。液体窒素は工業用に広く使われていて製造コストが安いから、当面はこれで十分かもしれない。電線の周囲に流して冷却するが、暖まったのをまた冷却して液化するのに電力が必要。この電力を消費しても引き合えばよいわけで、これは達成できるようだ。