効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

メタンハイドレード

独立行政法人である石油天然ガス・金属鉱物資源気候と産業技術総合研究所は、次世代エネルギーと期待されるメタンハイドレード(MH)の海洋産出実験に乗り出すと報じられている。2012年度と14年度の2回を計画しており、実現すれば世界初となる。MHの採掘は米国も推進しているようだが、日本は陸上産出試験を行っており、より商業生産に近い海洋産出実験に移行する。MHは海底下の低温高圧領域でメタンガス分子が水の分子の中に入り込んだようになってシャーベット状になって蓄積されている。10数年前に頼まれた講演の時に、実験室で作ったMHの白い塊を壇上で燃やしたことがある。お皿に載せた小さなMHの粒幾つかを集めたものにマッチで火をつけるとほとんど色の見えない炎を出して数分燃えた。臭いもススも全く出ない。
日本近海の東海沖、紀州沖、四国沖の海底に、国内天然ガス消費量の約100年分に相当する埋蔵量があることは確認されている。この採掘を安全且つ長期にわたって行えるとなると、日本はエネルギーの輸入国という束縛から解放される。しかし、高圧の海底から圧力の低い海上にメタンを安全、安定に採取できる技術は未開発で、時間がかかるとされていたが、発表された開発日程から見てかなり実現性が出てきたようだ。下手にやると温室効果二酸化炭素の20倍以上あるメタンが大気中に放散されることになるから、それを完全に阻止する技術の開発がなされなくてはならない。
これについて、化石燃料を使うことには違いがないではないかという人もいる。しかし、まずメタンは石炭よりはるかに少ない二酸化炭素しか排出しないし、発電でも極めて効率の高い使い方ができるようになっている。肝心なことは、二酸化炭素排出をゼロにするのが目標ではなく、排出を大きく削減することが必要だということなのだ。MHが実用化されれば日本のエネルギーミックスは大きく変わる可能性がある。今後の技術開発に大きな期待を持ちたい。あまり楽観的になってはいけないことは確かだが。