効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

大阪ガスがメタン濃縮実証に成功

大阪ガスと100%子会社のガスアンドパワーインベストメントは4月7日、低濃度炭鉱メタンガス(CMM)を濃縮する装置の実証試験に成功したと発表している。1〜2月にかけて中国遼寧省の阜新炭鉱で試験を実施。選択的にメタンを吸着する材料技術を活用し、濃度を約21%から約48%に高めることができた。09年度内の商用化を目指すとしているが、将来的には京都メカニズムなどへの適用も期待される技術である。石炭採掘に伴いCMMが発生するが、メタン濃度が30%以下の場合は安全を確保するため大気に放出されている。しかし、メタンの温室効果二酸化炭素(CO2)の21倍と高く、地球温暖化対策を進めるには回収・利用することが望ましい。
大阪ガス、GPIは石炭エネルギーセンター、現地企業2社と共同研究コンソーシアムを構成し、新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の研究協力事業として実証試験を行った。吸着塔に低濃度CMMを送り込んでメタンだけを吸着させた後、吸着塔内の圧力を下げて吸着剤から分離・回収する。濃縮したメタンはボイラーや発電機に利用できる。今後、商用標準機(1時間当たりのCMM流量2千立方メートル)を導入すれば、年間約4万トンのCO2排出削減効果が見込めるという。初期投資額は2億〜3億円を想定している。
この吸着能力が高い材料は、多分大阪ガスが開発した活性炭素繊維を利用したものだろう。もともと天然ガス自動車のために低い圧力でメタンが主である天然ガスを大量に保存できれば、高圧タンクの必要性もなくなるということで技術開発が進められていたが、この分野ではまだ商品化が進んでいない。多分高圧タンクの利用が規制緩和も進んで拡大し、コスト的に競争できないのかもしれない。しかし、今回の技術開発は東南アジアでパーム椰子から油採取後の処理水を池に溜めてあるところから大量にメタンが発生しているのが放置されているのを回収する事業にも応用できるのではないか。これも京都メカニズムに取り入れることができる分野だ。池からのメタンを採取するのに水面を密閉するのは難しいために、すぐ燃焼できるほどのメタン濃度を確保することは難しい。濃縮が簡単にできるのなら、簡易な採取装置で低濃度のメタンを取り込んで利用できるはずだ。