効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ロシア太平洋パイプライン

ロシアのセチン副首相が27日に東シベリアの石油を太平洋沿岸まで輸送する太平洋パイプラインについて、中国国境付近までの第一段階の建設が終わり、中国向けの支線パイプラインの敷設を開始したと発表したとのこと。中国向け支線は2010年末までに稼働する見通し。さらに同副首相は、日本への輸出が可能になる第2段階の敷設が14年に終了する予定であることも明らかにしている。東シベリアのタイシェットから中国国境のスコボロジノまで2,690キロメートルのパイプラインが敷設され、中国には今後20年にわたって年万トンが輸出される。14年に完成する予定の第2段階は、スコボロジノから日本海沿岸のハバロフスク近郊まで約2,100キロメートルが建設対象となっている。
中国にとっても日本にとっても、石油の供給源を多様化できるという大きなメリットがある反面、これからロシアが推進すると予想される巧妙な資源外交の道筋が一つ増えたことも意味する。サハリンから日本へのLNG供給がほぼ1ヶ月前から開始されているのと合わせると、日本にとってエネルギー資源の安定的確保という側面と同時に、エネルギーを巡る政治的駆け引きに負けないようにしなければならない。ロシアにとっても貴重な収入源が新たに増えたことになるが、日本の積極的な関与を求めてくるだろう。その供給ラインへどのような形で日本からの投資を求めるか、長期の供給契約がどのような内容になるか、しばらく進展を見守る必要があるだろう。
2014年から、日本への石油とLNGの供給が、今までの中東、東南アジア、オーストラリアにロシアが加わることになる。エネルギー自給率が極めて低い日本にとって、これを引き上げるには自然エネルギーの導入量を大幅に拡大する以外に方策はなさそうだ。原発についてもウラン燃料は輸入だし、高速増殖炉の開発は遅々として進んでいないからだ。しかし、ここに期待することは等分できない。ここ10〜20年で見れば、石油とLNGへの依存度が下がることはないだろうから、供給源の多様化は基本的に良しとすべきだろう。ただロシアが世界に与える政治的影響を考えると、日本の政治力をもっと高めなければ、いたずらに振り回される局面が出てくる可能性もある。