2050年に二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにするには大気中からCO2を分離・回収する技術が不可欠だ。九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の藤川茂紀准教授らはエアコンくらいの大きさで場所を選ばずに導入できる「ユビキタスCO2回収」という新発想の技術を提唱しているということだ。世界で試みが始まっている大気中のCO2回収技術は化学溶液にCO2を吸収させたり固体吸着材に捕集させたりするものがほとんどだが、藤川氏は独自に開発した有機超薄膜での回収を考えている。
分離膜の性能は一般に、どれだけガスをたくさん通せるかという透過量とそのうち目的の成分がどれだけを占めるかという選択性の2つで決まる。既存の分離膜は、選択性は高いが、透過量が少なく、大量のガスを扱うのは無理だと考えられてきた。従って、これまでだれも膜による炭酸ガスの吸着は考えてこなかったようだ。
藤川准教授らが開発したCO2分離用の超薄膜は厚さが数十ナノ(ナノは10億分の1)メートルという極めて薄い自立膜(基板を必要としない膜)。新型コロナウイルス(80~200ナノメートル)より薄い膜だ。実験では常圧でわずか1000PPM(PPMは100万分の1)しかCO2を含まない模擬大気ガスを膜に通して半分程度のCO2回収に成功している。膜分離は装置を非常にコンパクトにできどこにでも置ける可能性があるという。
政府のムーンショット型研究開発事業の支援を得て、エアコンの室外機か、家庭用燃料電池のエネファームくらいの大きさの装置をつくろうとしている。その装置は回収したCO2からメタンを合成する機能も併せ持つ。日量2キログラムのCO2を大気から回収し都市ガスとして使えるメタンを800グラム供給できるプロトタイプの装置を30年までに開発する野心的な目標を持っている。
ムーンショットプロジェクトでは、ただCO2回収に役立つというだけではなく、太陽光発電と組み合わせてエネルギーを自給できる地産地消型の炭素循環コミュニティーづくり、さらにはCO2からつくったメタンを輸出する産業づくりにもつなげていくことを構想していると紹介されている。
メタンを作るのも良いが、その集約と供給が陸奥魁夷だろう。吸収したCO2を集めて温室内に放散し、植物に吸収して貰うことができれば、農業にも貢献することが出来るのではとも思う。しかし、独自性のある技術が開発されたと思える。
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