効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

風力発電と固定価格買取

今日25日の夕刊に、斎藤鉄夫環境相が主要8カ国(G8)環境相会合が閉幕してからの記者会見で、風力で発電した電気について買取制度の導入を検討することを明らかにしたと報じられている。先日の太陽光発電からの電力について、自家消費された電力について環境価値をグリーン証書として買い取る制度を始めるのに続く動きだ。この記事では電力会社が風力発電からの電力を固定価格で長期間購入すれば、導入に伴う費用を風力発電事業者が回収しやすくなり、普及が進む可能性があるとある。しかし、これは環境価値の買取とは異なって、電力会社に買い取らせるというのだから、いままでの経過から見ると非常に実現性の小さいものではないか。今後二階俊博経済産業相と調整に入るそうだが、電力業界がこのような買取に応じるとは思えないだけに、二階経産相がそうですかとはまずならないだろう。
斎藤環境相は風力のほか、小さな河川や用水路に設置した水車による発電(小水力発電)も買取制度の対象にする方針を示したそうだ。ドイツやオランダなど欧州では、再生可能エネルギーによる発電には固定価格買取制度が適用されている。「買取制度の拡充は世界的な流れ」と強調したそうだが、帰国したら多分経産相からきつい拒否が示されるだろうと思う。これまで電力業界は、不安定な、それも太陽光発電と違って、電力需要が落ち込む夜にも発電する可能性がある風力発電について、風がよく吹く地域である北海道、東北、九州などの電力会社は、受け入れ可能な枠を定めていて現時点でほぼ一杯になっている。風力発電の発電規模は大きく、風に発電が左右されることから、系統を不安定にし電力の品質を悪化させると主張し続けているのが電力業界だ。固定価格買取制度は新規の設備設置へのインセンティブだから、いままでの電力業界がとってきた姿勢を無視したものとなる。これがどのような形で収まるだろうか。明日の朝刊にこれに対する経産省電事連の反応が出るかもしれない。環境相の勇み足発言で済まされないだろう。