効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

軽油脱硫

出光興産がディーゼル自動車用に使われる軽油から大幅に硫黄分を除去する世界でも初めての技術を開発したそうだ。ディーゼル自動車に搭載する燃料電池軽油を使えるようにするためのものだ。軽油から燃料電池に使う水素を製造するには、改質装置に入れる前に脱硫をする必要がある。しかし、いままで硫黄の濃度を大幅に下げるのは難しかった。今度の技術は軽油から硫黄を除去する金属製の吸着剤を新たに開発したものだ。粒状の吸着剤を脱硫器に入れて、その中を軽油を通過させると硫黄が吸い取られて濃度が1PPMまで下がる。従来の技術では5~8PPMであったそうだから、大幅な向上だといえる。しかも他の素材を添加する必要もないというから、優れものだといえる。
燃料電池に使用する燃料は、都市ガスやLPG、そして灯油が通常である。灯油にも硫黄分があるので、新日本石油燃料電池に市販の灯油ではなく、特別仕様の灯油を供給していた。最近一般市販の灯油を使えるようになったそうだが、これは一般市販の灯油では若干硫黄分の含有量が多いという問題があったように聞いている。もし軽油燃料電池に使えるとすれば、価格的にも有利になる可能性があるし、燃料電池ディーゼル自動車やディーゼル列車などに搭載できることになる。乗用車用の燃料電池の場合には水素を燃料として利用するので、改質器はガソリンステーションなどに取り付けられる。ところが大型のトラックや列車の場合、スペースが十分あるために、軽油の改質器を搭載することによって、外部から水素を供給するというインフラ上の難点を克服することができる。この金属は高価なものではなさそうだから、大化けする技術かもしれない。