効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

モグラ工場

ある工作機械大手のレーザー加工工場が地下にすっぽり収まるような設備にしたおかげで、加工精度が上がっただけでなく、空調に必要な電力が年間2400万円から90万円に落ちたという実績を出している。レーザー加工には数マイクロメーターの精度が必要なため、製造時に金属が温度変化で伸縮したり、チリやホコリの影響を受けたりしないようにしなければならない。工場が一日の気温変化が大きいところにあるときには、大規模な空調設備で微妙な温度管理をしなくてはならない。ところが、この工場ではこれを地下16〜7メートルの深さに設備全体を収めることで予想以上の効果を挙げている。地下深くにあることから、安定している地下の温度を利用して、地上から引き入れる大気の温度を地下の壁と熱交換させて一定化させている。その壁に接している風洞で大気はほぼ16度に保たれ、工場内は設備や働く人から出る熱が加わってもほとんど変動しないそうだ。その結果、大掛かりな空調設備は不必要で、エアコンを24時間運転する通常の工場に比べて、電力使用量は95%減ったという。
建設費は通常より2割高くなって、電力代が少なくなっただけではペイしないかもしれないが、製品の品質維持管理が向上したことのメリットを考えると損はしていないだろう。温度が安定している地下を利用するのはこれから普及するだろう。人間の居住空間が地下に入り込むようになって久しいが、このような形で空調を行うという発想は聞いたことがない。設計段階から考えれば、地下街の空調用エネルギーは大きく削減できるのではないかと思う。良い事例を教えてもらった。