効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

高温超電導電気モーター

Powerという雑誌を読んでいたら、米国海軍が戦艦を走らせる高温超電導を使った大型の電気モーターをテストするのに成功したと報じていた。このモーターは船舶を駆動する36.5MWという大型のもので、49,000馬力をフルに出させることができたようだ。このモーターの巻線に高温超電導の線材が使われていて、同じ規模の銅線を使って巻いたコイルに比べて150倍の電流を流すことができるとのこと。そのお陰で、モーターの大きさが従来のものに比べて半分で済み、船自体の重量も大幅に小さくなっている。このモーターの効率が高いのと軽くなったことを合わせると、燃料消費は大幅に減ることになる。この成功によって、将来オール電気で走る軍用船舶の実用化ができるとしている他に、この原理を使って風力発電の発電機のコイルに利用すれば、重量を大幅に減らすことができ、効率が上がり、風車の円滑な運転ができるようになるとしている。
超電導を使った高圧送電も実用的に使われはじめた。2006年の夏に住友電工が製作した超電導ケーブルを使ったテストがニューヨークで行われたが、それに続いて2008年の4月にロングアイランドパワーオーソリティーがNexanのケーブルを使って、13万8千ボルトの高温超電導送電を商業的に使う目的で半マイル(800メートル)の距離に敷設した。高温超電導の送電線は磁力線をほとんど出さないようで、そのお陰でワイヤー3本を4フィートの幅の地下溝に設置できている。高いところに配線する必要がないということだ。液体窒素を冷やすのに大量のエネルギーが必要なのは確かだが、そのロスを大きく上回る効率で送電できるとのこと。この分野は日本の電線メーカーの技術力も高く評価されているだけに、次世代の送電網に広く使われるようになると、日本が大きな貢献をすることになる。課題は電線の製造コストだが、この面でも日本が強いと聞くので楽しみだ。