効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

ヨーロッパの太陽熱利用促進

英国から来た情報によると、再生可能エネルギーの導入に高い目標を掲げているヨーロッパでは、いままで風力発電太陽光発電バイオマスの利用などに積極的に取り組んでいたのが、それだけでは不十分だとして太陽熱の利用を促進しようと計画しているそうだ。それもスペインなどの太陽光が強いところで見られるような太陽熱で高圧蒸気を発生させてタービンを回して発電するような大型集中型のものではなく、家屋やビルに比較的低温の太陽熱を利用するシステムを導入しようとするものらしい。
その筆頭は太陽熱を暖房・給湯に使おうとするもので、技術的にはそれほど要求度の高いものではないし、コストも簡単なものであれば大きくはならない。一方ヨーロッパの給湯、暖房に使用される化石燃料の量は、発電向けに使われるものよりも大きいといわれているだけに、この普及策が進展すれば大きな効果を生むことになる。これまで再生可能エネルギーを算定するのに電力を基準にしていたが、熱も再生可能エネルギーであることに違いはないので、その算定基準を標準化する必要があるだろう。それはちょうど東京都が太陽熱の利用にグリーン証書を出そうしているのと同じように、克服すべき壁があるかもしれない。ただ、計量の仕方に課題があるとはいえ、導入自体に対する障壁は高くないだろう。
その記事の中に、低温の熱を安定して長期に保存する技術が開発される必要があるという記述があった。確かにそうだと思う。お湯として保存するのはどうしても大気中に逃げていくために、夏に確保してある熱を冬につかうということは極めて難しい。しかし、物質の中には、ショックを与えると組成が変わって熱を出すものがある。酸素に触れると発熱する物質が懐炉に使われるように、太陽熱を利用してそのような物質が合成できればよいことになる。このような技術開発は行われているのだろうが、もっと力が入れられても良いのではないか。電気エネルギーほどポテンシャルの高いものではないにしろ、熱の使用量は大きいだけにエネルギーの有効利用には大きな貢献をするだろう。