効エネルギー日記

エネルギーの効率的利用を中心に、自分の考えを述べる。

家庭用固体酸化物型燃料電池(SOFC)開発の新しい動き

大阪ガス、京セラ、トヨタ自動車アイシン精機の4社は25日、家庭用固体酸化物型燃料電池SOFC: Solid Oxide Fuel Cell)コージェネレーションシステムの共同開発に合意したことを発表したと報道されている。合意内容として公表されているのは、「主に大阪ガスが排熱利用給湯暖房ユニット、京セラ・トヨタ・アイシンが発電ユニット(SOFCのセル及びスタック※5は京セラ)を担当し、また4社共同で、家庭用SOFCコージェネレーションシステムの評価などを実施します。今後4社は、大阪ガスの排熱利用などのコージェネレーション技術、京セラのファインセラミック技術、トヨタ・アイシンのシステム化技術といった、各社が培ってきた技術やノウハウを統合・活用することで、家庭用SOFCコージェネレーションシステムの開発を加速し、2010年代前半の開発完了を目指します。」ということだ。
この記事を見て最初に考えたことは、トヨタは固体高分子膜を使った燃料電池PEFC)を自動車用に使うのを諦めたな、ということだ。トヨタが長年自動車用に開発を続けてきたPEFCの技術を、定置式の家庭用燃料電池に応用するためにアイシンと組んでシステムを開発し、政府の大規模実証試験に参加したときにも感じたことだ。自動車の主要部分に使うには燃料電池本体に高価な白金を使うこともあってコストが下げにくい。燃料として使用する水素の供給網がいつできるか見当もつかないところにも難しさがある。それにハイブリッド自動車の技術進歩が急速だし、その次にはバッテリー技術の進歩によって電気自動車の実用化が目の前に来ている。自動車燃料に水素を使うといっても、当面は化石燃料から製造せざるを得ないとすれば、ハイブリッド自動車や電気自動車でもエネルギー効率の面でそれほど変わらないことになる。理由は幾つも見つけることができる。
次に思ったことは、いままで燃料電池開発に投入してきた投資を、PEFCより発電効率が高い次世代のSOFC・固体酸化物型燃料電池に使って回収しようとしているなということだ。それは、電池本体がセラミックであるSOFCの実用化が早いと判断しているということだろう。プレス発表に「2010年代前半の開発完了を目指します」というところにはっきり出ている。商品化がこの頃にできると言っているのだから。この日記でもSOFCの方が早く実用化するのではないかと書いたことがあるだけに、我が意を得たりだ。SOFCを自動車に取り付けることも考えているかもしれない。
そしてもう一つ。なぜこのチームに東京ガスが入っていないのかということだ。東ガスもSOFCを開発中で、独自の構造をもつものを京セラと共同開発している。大阪ガスは電池部分の開発については京セラに任せていたように見えるが、その戦略が当たったのだろうか。大阪ガスPEFCエネファームをこの春から発売するが、SOFCの方に力点を置く方向に向かうのだろうか。